スイートルーム


――次郎……。

あたし、次郎が好きだよ?


でも次郎は、あたしの気持ちなんか気づいていないよね。



「……はい。次の空港行きのバスは……」



他のお客様の対応をしているなか。

次郎は、ホテルを後にした。



最後の会話を交わすことも。

自分の気持ちを伝えることもなく。



あたしは、立ち去って行く次郎の後ろ姿を見送った。


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