スイートルーム
【9】ベルキャプテン
――それから、何ヶ月か過ぎ……。
ふと気づけば、次郎と出会ったクリスマスイブが、今年もやってくる。
あたしは次郎のことを想いながら、ホテルで働いている。
あれから次郎は、ここに泊まりに来ていない。
あたしは市来くんに頼んで、次郎が登録した連絡先を見たけれど……。
連絡はしなかった。
あたしはホテルマン。
次郎は、宿泊客だから。
もしも出会った場所がここじゃなかったら。
あたしは迷わず、次郎に連絡しただろう。