スイートルーム
【10】スイートルーム
――次郎と、こんな形で再会するなんて……。
嬉しいけど……。
次郎は、鉄則破りのあたしのこと、軽蔑しているかも。
再会したのに、次郎は何もしゃべらない。
沈黙が続く、二人きりのエレベーター。
ようやく口を開いたのは次郎だった。
「最初に……、俺が泊まったスイートに連れて行ってよ」
次郎が泊まったスイートルーム。
あの日の記憶が鮮明によみがえる――。
あたしはやっぱり、今でも次郎が好きだ……――。