神託で決められた結婚相手が四十路間際の中年伯爵さまでした。とても気が合って良い方なのですが、私も彼も結婚する気はありません。
馴染んでゆく二人
07.
それからマルガレタは、月に二度ほどの頻度で彼の屋敷を訪れた。
婚姻拒絶の打ち合わせはほどほどに、アルトナーはとっておきのスイーツでマルガレタをもてなし、マルガレタはできるかぎり詳細に自分の学園生活を話す。
それは今の学園の内情にとどまらず、時には自身のプライベートなこと、一つ上にあこがれている男子生徒がいるということなども、勢い余って話してしまうこともあった。
それほどまでにアルトナーとの歓談の時間は、楽しく、穏やかなものだった。
アルトナーはマルガレタの恋を応援し、「大丈夫。あなたならきっと上手くいきますよ」と、にこやかに彼女を励ます。
また、知り合った縁が縁ということもあり、二人の会話は、時には結婚を押し付けてきた巫女への不満に発展することもあった。
「アルトナー様は確かに良い方だと思いますけど……知り合いでもなかった私たちを無理矢理くっつけようだなんて、その巫女とやらは横暴にも程がありますわ!」
「ええ、まったくですね。こういうことはお互いの気持ちが大事だというのに」