ピンクトルマリン
引退当日───

益岡先生はみんなを集めてこう言った。

「お前らの力を全部出していけ。悔いの残らないように。とりあえず…」

と言ってレギュラーの

真里先輩
友香子先輩
美沙先輩
恵理先輩
祐実先輩

が指名される。





益岡先生は5人がコートに出て行く姿をじぃっと見ていた。

雛の成長を見守る親鳥みたいな

暖かい優しい目だった。






益岡先生って怖いと思ってたけど
あんな顔するんだ。

ちょっと意外。


本当は怒るのも注意するのも嫌なはず。

だけど、あえてするのは生徒を愛してるからだよね。

愛してるって意味は恋とかの意味じゃなくて…
家族愛みたいな愛情のこと。

少なくともあたしはそういう風に感じた。





ピー!!


「試合開始します」



笛の合図と共に応援の声が押し寄せる。

先輩、頑張って!!

 
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