ピンクトルマリン
「いや、別に。平塚…さん…こそ何してるんだ?」

あたしの名札にちらっと目をやって問いかけた。
そりゃ一回しか会ってないもん。
名前なんか覚えてないよね。

「あたしは…ちょっと、先輩たちのこと思い出してて」

少し恥ずかしくなって下を見る。

「そうか。あいつらも精一杯やったから…悔いもないと思うんだがな」

頭をポリポリとかいて益岡先生もうつむく。

「それはあたしもそう思います。次、あたしたちも本格的に練習に入るんですよね?」

あたしはパッと顔をあげて先生をみた。

「あぁ、そうだな。頑張れよ。ビシビシ指導するからな」

にって笑った先生は子供みたいだった。

先輩が引退するのは悲しかったけど

これからの部活が楽しくなりそうで

「はい」


と笑って答えた。

 
< 32 / 77 >

この作品をシェア

pagetop