ざまぁ代行、承ります。星空の女神は沈黙の第二皇子とお兄様に溺愛されて、代行業に支障を来しているようです。
私はいつ殿下の逆鱗に触れるかと気が気ではなかったのだけれど、ツカエミヤの必死さを見たら、胸が傷んで──。
どうしたらいいの?私は、どうするのが正解なのかしら。
私はまた、自分の選択に迷いを生じさせてしまった。
「おれはあんまり気が長くない。何度も邪魔するようなら……」
「殿下。ツカエミヤは侍女になったばかりで、礼儀作法が未熟なの。多めに見てあげて」
「そう?彼女、旧ラヘルバ公爵家に務めていた頃、勤続年数は上から数えた方が早かったよね。ベテランの域だったはずだけど」
「……よく、ご存知ね」
「ミスティナのそばにいる人間は、把握しておかないと。いつ牙を向いてくるかわからないだろ。あんな風に」
殿下が出入り口に視線を向けた瞬間だった。
タイミングよくドアが蹴破られ、図体の大きな……鬼にも見間違うほど、見慣れた人物が姿を見せたのは。
「黙って聞いてりゃ……。ミスティナがいつてめぇのもんになったんだよ。ミスティナは俺のもんだ。引っ込んでな」
「お兄様!」
「ああ……君が、ミスティナの自称お兄さん?テイクミー・カフシー、だったかな。はじめまして。今までミスティナを守ってくれてありがとう。これからはおれがミスティナを守るから、心配はいらない」
「誰が誰を守るって?馬鹿は休み休み言いやがれ。非常識なやつだな。事前連絡をした上で正面玄関から訪問すんのがマナーだろ?事前連絡もなしに転移魔法で淑女の部屋に忍び込むとか……不法侵入訴えんぞ」
お兄様は力強い力で私を後方から抱きとめると、羽織っていたローブの中へすっぽり覆い隠す。
殿下がお兄様のことを、自称兄と称したことは気がかりだけれど──これは、助かったと言えるのかしら。微妙な所ね……。
「お、遅いですよ!」
「うるせぇな。これでも急いできたんだ。感謝しろ」
「ミスティナ様が連れ去られたら、どうしようかと……!」
「王族だが皇太子だかなんだか知らねぇが、ミスティナは生まれた時から俺のもんって決まってんだよ。外野はすっこんでな!」
「外野はどっちだろうね。おれは正規の手続きを踏んだ上で、ミスティナを求めている。すぐ迎えに来れなくて、ごめん。陛下の了承は得た。会いに来たら、逃げないって約束したはずだよ。俺の妻に、なってくれるよね」
私は殿下との会話から逃げないと約束しただけで、婚姻に了承したわけではないのだけれど……。
情緒不安定なお兄様は、傷を追った手負いの獣かと見間違うほどに私を強く抱きしめ、殿下を威嚇する。
抱きしめられた腕が腹部に食い込んで、出てはいけないものが出てしまいそうだわ……。
どうしたらいいの?私は、どうするのが正解なのかしら。
私はまた、自分の選択に迷いを生じさせてしまった。
「おれはあんまり気が長くない。何度も邪魔するようなら……」
「殿下。ツカエミヤは侍女になったばかりで、礼儀作法が未熟なの。多めに見てあげて」
「そう?彼女、旧ラヘルバ公爵家に務めていた頃、勤続年数は上から数えた方が早かったよね。ベテランの域だったはずだけど」
「……よく、ご存知ね」
「ミスティナのそばにいる人間は、把握しておかないと。いつ牙を向いてくるかわからないだろ。あんな風に」
殿下が出入り口に視線を向けた瞬間だった。
タイミングよくドアが蹴破られ、図体の大きな……鬼にも見間違うほど、見慣れた人物が姿を見せたのは。
「黙って聞いてりゃ……。ミスティナがいつてめぇのもんになったんだよ。ミスティナは俺のもんだ。引っ込んでな」
「お兄様!」
「ああ……君が、ミスティナの自称お兄さん?テイクミー・カフシー、だったかな。はじめまして。今までミスティナを守ってくれてありがとう。これからはおれがミスティナを守るから、心配はいらない」
「誰が誰を守るって?馬鹿は休み休み言いやがれ。非常識なやつだな。事前連絡をした上で正面玄関から訪問すんのがマナーだろ?事前連絡もなしに転移魔法で淑女の部屋に忍び込むとか……不法侵入訴えんぞ」
お兄様は力強い力で私を後方から抱きとめると、羽織っていたローブの中へすっぽり覆い隠す。
殿下がお兄様のことを、自称兄と称したことは気がかりだけれど──これは、助かったと言えるのかしら。微妙な所ね……。
「お、遅いですよ!」
「うるせぇな。これでも急いできたんだ。感謝しろ」
「ミスティナ様が連れ去られたら、どうしようかと……!」
「王族だが皇太子だかなんだか知らねぇが、ミスティナは生まれた時から俺のもんって決まってんだよ。外野はすっこんでな!」
「外野はどっちだろうね。おれは正規の手続きを踏んだ上で、ミスティナを求めている。すぐ迎えに来れなくて、ごめん。陛下の了承は得た。会いに来たら、逃げないって約束したはずだよ。俺の妻に、なってくれるよね」
私は殿下との会話から逃げないと約束しただけで、婚姻に了承したわけではないのだけれど……。
情緒不安定なお兄様は、傷を追った手負いの獣かと見間違うほどに私を強く抱きしめ、殿下を威嚇する。
抱きしめられた腕が腹部に食い込んで、出てはいけないものが出てしまいそうだわ……。