相思相愛・夫婦の日常~カケ♡サト編~
咥え煙草で、店まで歩く。
心なしか、歩くスピードは遅い。

幸生は、高校の時の親友。
もう一人“雷武(らいむ)”と言う親友がいて、他にも沢山仲間はいたが、いつも三人で行動していた。

彼等に会うのは、高校を卒業以来。

会うことが嫌ではない。
しかし、ある理由から翔琉は“会わない”と決めていた。


待ち合わせ場所の駅前に着く。

まだ誰も来ていないようだ。
心を落ち着けるために、スマホに保存している里海の写真を見る。

すると、ちょうど里海からメッセージが入ってきた。
【逆ナンされてない?
変な人に声かけられてない?
お友達と楽しんできてね!】

フフ…と笑う。

逆ナンどころか、声をかけられることなんて皆無だろう。
だって、基本的に里海がいない時は“寄るな”と言うオーラを出している。
そして服も半袖を来ているので、袖から刺青が見えている。

そんな翔琉に声をかける人間なんて、それこそ友人くらいだろう。

「ん?」

“楽しんできてね!”の後に、まだメッセージの続きがあった。
空白が続いて…………

「あ…/////フフ…」

【出来れば……早く帰ってきてね。
帰ったら、ギュッてしてね。
チューもしてね。
明日休みだから、ずっとくっつかせてね。
あと、久しぶりにカケくんのナポリタン食べたい。
作って?
で、あーんってして、食べさせてね。
てことで、明日は私が甘える日ね!】

翔琉は微笑み“OK”のスタンプを送った。


そして━━━━
「翔琉?」
名前を呼ばれて顔を上げると、男性が二人立っていた。

「幸生、雷武!」

「「久しぶり!」」

「久しぶり」

「なんか、優しくなったな。表情」
幸生が微笑む。
「あんな、威圧感半端なかったのに」
雷武も口を揃えていった。

「二人だってそうでしょ?
なんか、雰囲気が柔らかくなった!」


三人は、店に向かった。
既に仲間達は来ていて、飲み物を頼み乾杯をする。

「「「◯◯高に、乾杯~(笑)」」」

「翔琉は何食う?」
「あ、僕は少しつまむだけでいい。
酒と煙草があれば」

「は?食っとけよ!
腹減るぞ?」

「腹減ったら、家でなんか食べるからいい」

里海の手作り以外を口に入れたくない、翔琉。
お通しをつまみながら言った。
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