相思相愛・夫婦の日常~カケ♡サト編~
「は?」

「翔琉も、俺と同じところまで堕ちてこいよ。
なんで!お前みたいな“悪魔”が、幸せになれてんの!!?
お前、高校ん時、最低・最悪だったじゃん!
威圧感丸出しで、恐ろしくて、怖いものなんかなくて………
俺には最高のダチだった。
なぁ、翔琉。
堕ちてこい!!」

「………」
翔琉が無言で、立ち上がる。

「え……かけ…る?」
「翔琉、やめとけよ…!」

幸生と雷武が、慌てたように止めに入る。

「翔琉!」
「翔琉、ダメだ!!」


ゆっくり秀弥に近づき、胸ぐらを掴み上げた。
秀弥は微笑み、抵抗することなく見据えている。

「………」

「……ほら、翔琉!来いよっ!」

「………」

「……堕ちてこい!」

「……フッ…!!」
ずっと、無表情で見つめていた翔琉。
突然、噴き出して笑い出す。

「は?」

「え?え?」
「翔琉?」

幸生達も、何がなんだかわからず固まっている。

「フフ…フフフ……
━━━━━秀弥」

「は?なんだよ……」

「“僕が”堕ちる?
そうじゃないだろ?(笑)
“お前が”上がってこいよ!!!」

「━━━━は?」

「悔しいんだろ?
お前はあの日……あの退学した日から、まるで取り残されたみたいに落ちぶれたもんなぁー
僕達は、それぞれ大学にまで行けて幸せに暮らしてる。
雷武には彼女がいて、僕は結婚まで出来てる。
そりゃあ…悔しいよな?(笑)」

「翔琉…!!てめえ……!!」

「でもな。
勘違いすんなよ?」

「は?」

「僕達が、順風満帆にここまで駆け上がれたと思うなよ?
お前と違って、必死に上がってきたんだよ!?
このピアスに誓ったんだ。
“誠実に生きる”って!
僕も、嫁さんと一緒にいたくて、嫌われたくなくて、認めてほしくて、今必死なんだよ!!
それを、お前なんかのために棒にふるわけねぇだろ!!?
━━━━━━言っておく。
僕は、暴力は振るわない。
絶対に!!
せっかく掴んだ“幸せ”を、絶対に手離さない!!」

そこまで言って、手を離した。
そして、秀弥を見据えた。

「秀弥。
殴りたいなら、殴れ。
殺りたいなら、殺れよ。
でも僕は、絶対に手を出さないから。
僕は、お前のところには堕ちない」
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