相思相愛・夫婦の日常~カケ♡サト編~
翔琉の真っ直ぐな思いに、秀弥は勢いをなくした。

そして翔琉達は解散し、翔琉はゆっくり家路についていた。
そこに雷武からメッセージが入り、秀弥を警察に連れていったと書かれていた。

リナの暴行の件だ。
しかも他にも余罪があったらしく、秀弥は当分出てこれないと書いてあった。

翔琉はホッと肩を撫で下ろしながらも、他人事とは思えず身体が震えていた。
だって秀弥の退学がなければ、あのまま最低な悪魔のまま、より最低な人間に落ちていただろうから。

きっと里海とで出逢えても、受け入れてもらえなかったに違いないから。

「サトちゃん…」

里海が傍にいない未来なんて、考えただけで死にそうだ。

里海がいるから、生きている実感が持てる。
里海がいるから、誠実に生きようと思えるのだ。

里海がいるから。
里海のために。


自宅マンションに着き、鍵を開けて中に入る。
「サトちゃーん!ただいまー!」

しかし中からは、テレビの声が聞こえてくるだけで里海には翔琉の声が届いていない。

リビングダイニングに入ると、里海がテレビの前でリモコンをマイク代わりにして歌っていた。
里海が一人で留守番をする時のスタイルのようなものだ。

寂しさを紛らわすために、好きなアーティストのDVDを見ながら熱唱するのだ。

クスクスを笑い、声を張り上げて呼びかけた。

「サトちゃん!」

「へ?
━━━━━あ!カケくん!!
おかえりぃー!!」

パタパタと駆けてきて、翔琉に抱きついた。
翔琉も、里海を力強く抱き締める。

“里海がここにいる”

それだけで、泣きそうなくらい幸せだ。

「カケくん?どうしたの?」

ふと見下ろすと、里海が心配そうに見上げていた。

「ん?」

「あ!!逆ナンされたの!?
それとも、変な女の人に何処か連れていかれそうになったの?」

「え?ううん」

「あ!男の人って可能性もあるよね?」

「ううん。そんなことされてないよ?」

「ほんと?
でも、カケくん。泣きそうだよ?
こっちおいで?
よしよししてあげる!」

翔琉の手を引き、ソファに座らせた里海。
隣に座って、翔琉の頭をゆっくり撫でた。

「大丈夫だからね!
私が、ずっと傍にいるからね!」

「うん」
翔琉は里海の言葉を噛みしめるように目を瞑り、心地よさに浸っていた。


「━━━━━カケくん、ちゃんと食べた?ご飯」
「ううん。酒だけ」

「やっぱり(笑)
カケくん大好きオムライス食べない?もう夜遅いからミニオムライスだよ?」

「食べる!!」

パッと華やかになり食いつくように言った、翔琉。
里海も、満面の笑みになるのだった。
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