相思相愛・夫婦の日常~カケ♡サト編~
「え……さ、サト…ちゃん…?」

「え?なんで怒ってんの?里海ちゃん」
「さ、さぁ?」

「今、カケくん達とお話したくありません。
離してください」

「やだよ!
それに、危ないよ?」

「大丈夫です。
泳いで戻りますので!」
そう言って里海は、浮き輪の下に潜り抜け出た。

「ぷはっ!!」と一度顔を出して、泳ぎ始める。

「ちょっ…サトちゃん!!!」
慌てて翔琉が里海を追いかけ、里海の足首を掴んだ。
そしてそのまま、力強く引き寄せ腕の中に閉じ込めた。

「ひゃぁ!!!?
離して!!」

「やだ!!
僕から離れないで!」

「………」

「里海ちゃん、なんでそんな怒ってんの?」
「俺達、なんか傷つけるようなこと言ったかな?」

「サトちゃん、教えて?」
里海が溺れないようにしっかり抱き締め、顔を覗き込んで言う。

「………バカにしたから…」

「は?バカにした?」
「誰が?」
「誰を?」

「背が低いの、バカにしたでしょ?」

「バカになんかしてないよ?」

「私、150cmないの!!身長」

「え?そうなの?」
「だからって、バカにしたわけじゃねぇよ?」
「そうそう!」

「ちっちゃくて、可愛い!」
「うん、可愛い!里海ちゃん」
「だな!可愛いよ!」

「なんかそれ…適当に言ってるでしょ?」

「「「そんなことない!!」」」
ハモる、翔琉達。

「だったらいいけど…」

「ほんとだよ!
ね?だから、機嫌直して?」

「う、うん…」

「なぁ、そろそろ上がらね?」
「もうすぐ、閉まるし」

「そうだね」
「はい。
カケくん、浮き輪貸して」

「え?このまま連れてくよ!
幸生、浮き輪持ってて!」

「ん。了解~」
「じゃあ、戻るか!」

幸生と雷武、翔琉が里海を抱っこした状態(縦抱き)で水の中をゆっくり歩く。
里海は、翔琉の首に抱きついていた。

ふと周りを見ると、父親に同じように抱っこされた女の子と目が合った。

なんだか恥ずかしくなり、翔琉の首に顔を埋めた。

「ん?サトちゃん、大丈夫?
疲れちゃった?きつい?」
「ううん////
カケくん、下ろして?後は泳ぐから」

「えー!やだー!
だってなんか、幸せなんだもん!
サトちゃんが僕のモノって言ってるみたいで!」

“プールから上がったら、下ろしてあげるから”
そう言われ、更にギュッと抱き締められた。
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