相思相愛・夫婦の日常~カケ♡サト編~
「━━━━里海…ちゃん…?」

うずくまっている里海に、声をかけてきた男性。
見上げると、そこにいたのは幸生だった。

「土田さん…」

「里海ちゃん!?どうした!?」

「あ、いえ…大丈夫です…」
ゆっくり立ち上がる。

「……ってそんな顔してねぇじゃん!
とりあえず、翔琉に電話!」

「大丈夫です。
家はもうすぐそこだし、一人で帰れます」

「じゃあ、送る!」

「え?ほんとに大丈夫ですよ」

「………あのさ」
ため息混じりに言う、幸生。

「え?」

「“大丈夫です”って顔、全くしてねぇんだが」

「え?」

「俺には“助けて”って顔に見える」

「あ…」

“翔琉を呼ぶか、俺に送られるか、どちらか決めて”と言われ“翔琉を呼ぶ”と言った里海。
近くだったのもあり、五分程で翔琉が駆けつけてきた。

タタタッと翔琉の足音が聞こえ、駆けつけるなり里海を抱き締めた翔琉。

「サトちゃん!!」
「カケくん…」

「大丈夫!?」
「ん…」
里海も抱きつき、顔を埋めていた。

「何があったの?」
里海は抱きついたまま、首を横に振る。

「幸生は知ってる?」
「いや…
俺もついさっき、ここでうずくまってる里海ちゃんを見かけたから」

「今日、友達に会ってたはずだよね?
友達になにかされたの?」
首を横に振る。

「うーん…じゃあ…」
「ナンパとか?」
幸生の言葉にも、首を横に振る。

「とりあえず、翔琉。
家に帰った方がよくねぇか?」
「そうだね。
幸生、ありがと!」

「ん」

「あ、土田くん。
ありがとうございました」
バッと、埋めていた翔琉の胸から顔を出した里海。

「ん。
また落ち着いたら、遊んでよ!」
手をヒラヒラと振り、去っていった。

「僕達も帰ろ?」
翔琉が手を差し出す。
里海は頷き、その手を握った。

「サトちゃん、夜ご飯食べたの?
思ったより早かったけど」
「食べてない」

「じゃあ、焼そば一緒に食べよ!
僕の今日の夜ご飯だよ。
まだ作ってる最中だったから、サトちゃんの分も足せばいいし」
「うん」

「あ、その前にギューとチューしようね!」
「うん」

「フフ…チューが、ブチューになるかも?(笑)」
「………」

「そのまま、押し倒しちゃったらごめんね(笑)」
「……カケくん」

「んー?」

「……………どうして、何も聞かないの?」

里海は立ち止まり、翔琉を見上げた。
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