相思相愛・夫婦の日常~カケ♡サト編~
無理矢理取り上げることも可能だ。
でもそんなことしたら、サトちゃんはしばらく口を聞いてくれなくなる。

そんなの、耐えられない。

なので、こうなったサトちゃんは正直タチが悪い。
僕が強く出られないのをわかってて、こんなやり方をするんだから。


「お願い、サトちゃん。
緊急の仕事の電話かもでしょ?」

「………」

「んー、どうすれば返してくれる?
ギューする?
抱っこしようか?
チュー?」

「……抱っこ…」

困ったように言うと、さすがのサトちゃんも“悪い”と思うらしくポツリと呟いた。

「ん。はい、抱っこするから!」
ソファに座りサトちゃんに向かって両手を広げると、僕の膝に跨がってサトちゃんが抱きついてきた。

「はい、ギューーーッ!!」
そして背中をゆっくりさする。

しばらくさすって、背中をポンポンと軽く叩く。
「サトちゃん、スマホ!」

顔を上げたサトちゃんが、漸くスマホを手渡してきた。
「ありがと!」
サトちゃんを膝に乗せたまま、スマホを操作し確認する。

案の定、佐越から電話とメッセージが入っていた。

“◯◯のことで、確認しておきたい。
電話くれ”

「サトちゃん。
佐越に電話するから、下りてくれる?」

「………」
「ん。ごめんね!」
不服そうに膝から下りたサトちゃんに謝って、電話をしながらリビングダイニングを出た。


「━━━━うん、それでお願い」
電話を終え、通話を切る。
すると、待ち構えていたかのようにサトちゃんが後ろから抱きついてきた。

「ん?サトちゃん?」
「終わった?電話」

「うん、終わったよ!」
「じゃあ、寝よ?
眠くなったの。
また、お腹よしよしして?」

窺うようなサトちゃんの上目遣い。
可愛い……!

きっと、悪いことをしたと反省したのだろう。

いつもサトちゃんは思い直し、僕の機嫌を窺うように甘えてくる。

こんな可愛いサトちゃんを見ると、全てを許してしまう。


「うん、寝よう!
歯磨きしに行こうね!」
僕達は手を繋ぎ、洗面所に向かった。



そんな一週間を過ごし、サトちゃんの月一回の幼児化は終わりをつげるのだ。

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