うちのクラスの吉田くん!

その18

 吉田と俺で、渡瀬を待っている間にした話。


 吉田は先日観たアニメについてしゃべっていた。

「……だいたい、最近の必殺技やら呪文は長いのが多い。変に凝ってたりさ。すぐに覚えるのは無理だ、もっとシンプルでもいいのになあ」

 レンタルショップや配信で観られる最新から白黒のものまで、気になったものはロボアニメも特撮も、少しでも観てみる吉田。
 そうなるとやはり昔のものと比べることもあるらしい。

 俺はふとあることを思い出す。

「そういえば俺はこの前、よっしーが言ってた特撮を少しだけ観たよ」

 そうは言ったものの、俺はその名前が思い出せない。
 確かいくつも、昔からすればかなりの数があると吉田は言ってたんだけど…

「……なんだっけ??」

 しばらく考えたけれど俺はやはり思い出せなかった。

「『カラーヒーロー』シリーズか?“アーツ”みたいな『改造戦士』シリーズか?『宇宙巨人』シリーズか??」

 吉田に名前を挙げられ、俺は少し考えるけれど首を横に振る。

「そのどれでもない気がする……」

「仕方ねえ。気になるし、名前挙げてくか」

 吉田はそう言うと息を吸い込んだ。

「メタルものならスペースポリス三作、緊急戦士三作、昆虫戦士二作、コメディ二作、ほか二作……ヒロインなら中華少女二作、宇宙戦士、エジプト戦士、人魚姫、姉妹戦士……天地変異シリーズなら……」

(これらを吉田くんは具体名で挙げてます)

 俺が全く聞いたこともない特撮作品の名前を、ほぼつっかえることなく次々と羅列していく吉田。
 その時間は約5分以上に及んだ。

「……っとまあ、配信されててメジャーなのはこんなところか」

 と、特撮らしい題名を“そら”で挙げ終えた吉田は真剣な表情で俺に向き直る。

「で、カズキが観たのはどんなやつが居た??」

「…た、確かカラスと、あとカバの……」

 俺が圧倒されるままそう返すと吉田は大きくうなづきニッコリと笑った。

「ああ、『探偵ロボ犬タック』か!!メタルの『コメディ超変身シリーズ』だな!」

 吉田はそう言い、満足そうな表情を浮かべている。

 ……必殺技を覚えるより、これを5分くらいスラスラ言えるほうがすごいと俺は思うんだけど……


 吉田の特撮作品への情熱と気合いの入れようは、本当に半端ない。
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