うちのクラスの吉田くん!

その26

 ある日の放課後。
 吉田がクラスメイトにある特撮の音楽について、かなり熱を入れて力説をしていた。

「カラーヒーローでな、二十年以上前のになるんだが、音楽がすげぇんだ!!ファンタジーヒーローでな……」

 ……ああ、吉田が前、俺に推してきたヒーローの歌の話だ……

 俺『カズキ』は近くで吉田のそれを聞いていた。

「オープニングがまず、大御所の“シモさん”でな!!あ、シモさんっていうのはアニソンをかなり歌ってる人なんだ!七十年代にやってたアニメの五人忍者ヒーローの、めちゃくちゃ有名なアニメのエンディングとか!曲も……」

(ああ、吉田の大好きな、アニメソングをたくさん歌ってるあの人だな)

 俺はそばでそれを聞きながら苦笑い。
 聞いているクラスメイトも、吉田の勢いに完全に押されながら聞いている。

「BGMもヤバいんだ!カッコいいぞ、疾走感とかあって!!それに、挿入歌のロボ二曲は“宮さん”がな……!!」

(吉田が尊敬するあの人だな。大好きなんだよな、よっしーは……)

「騎士がいて、BGMもそうだがソイツの歌もカッコよく“サカ兄”が……」

(あの歌もなかなか、番組のコンセプトの感じが入っててカッコよかったかもなあ)

「ヒーロー五人の誓いの想いが入った歌とか……“山っさん”が熱くだなあ……!!」

(あの人の歌は本当に熱いよな。前に聴かされた、初代の四駆アニメを歌った人と同じとは思えないくらい)

 吉田の熱弁が続くのを俺は近くで、
(話を聞かされ続ける方は大変かもなあ~……)
なんて思いながらずっと苦笑いで聞いていた。

 しかし、ふと気付く。

 ……これだけよっしーの話を覚えてる俺も、その一人ってことなんじゃ……

 吉田の影響力を、俺は改めて思い知ったのだった。
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