うちのクラスの吉田くん!
 ……始まった〜……

 この前の図書室でのカード勝負から引き続き、この二人は最近、放課後に顔を合わせるたびにこう。

 “ツン”属性がもろに出たまま次々不満をぶちまけるテガ部長に、不敵に笑うまま部長の言葉に嫌味一本で言い返し続けるハマ先輩。

 そのうち、二人は揃って自分のバッグとカードデッキを手に部室を出ていった。


 トバ先輩と俺は呆然としたまま出入り口を見ていたが、その直後トバ先輩が小さな声でこう言うのを俺はハッキリと耳にした。

「……テガ先輩っ、“今日”は良しっっ!」

 それも、小さなガッツポーズ付きで。


 “今日は”……??

 テガ部長は本来、あの言動からは全く想像できないほどけっこう穏やかで優しい。
 あんなにツンツンとした態度を取るのはハマ先輩と会ったときだけだからだ。

 ……まさかトバ先輩の好みって、かなり気の強い人……!?


 その後、俺が何も知らないフリでこの前に聞いた『女王様タイプ』のキャラの話をトバ先輩に振ると、やはり図星だったのか先輩は上機嫌のままそのタイプのことを事細かに教えてくれたのだった。


 そして、俺が借りた例のギャルゲーの方はというと……

「トバ先輩、もうしばらくあのゲーム、貸してもらっていいですか??“ストーリー到達率”がどうしても九十パー……百パーセントいかないんですよっ!!」

 ……けっきょく俺の“夜型”はしばらくのあいださらに悪化し、渡瀬や吉田からは“夜行性”とまで呼ばれるほど、借りたギャルゲーのストーリーにハマったのだった。
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