うちのクラスの吉田くん!
その29
その日、放課後になってすぐのこと。
俺は、吉田があらためて聴き直したという特撮ヒーロー番組の挿入歌について熱く語るのを聞いていた。
「……カズキ、オープニングやエンディングだけじゃないんだって!!あらためて挿入歌ってあんな熱く、ヒーローたちのことだけじゃなく登場メカやら悪役のことまで熱く歌うんだと思うと感動したんだ!『今どき熱くなんて』とかいうヤツいるけどな、ヒーロー応援するのに熱くならずにどうするっていうんだよ!!年代には年代の、シリーズにはシリーズの良さがある!!」
聞いている俺は苦笑い。
俺はここ最近は『アーツ』を観ただけで、特撮ヒーローは幼少のときに観たのを覚えているかいないかくらい。
オープニング歌ならまだしも挿入歌なんて、覚えているかどうかっていったら……
そのとき、クラスメイトのアイダが俺たちの話に入ってきた。
「あ、あのさよっしー。俺じつはずっと前に“カブト戦士シリーズ”を観たことがあるんだ。俺の伯父さんが、買ったDVD観せてくれてさ……」
それを聞いた吉田の目が輝く。
「なかなか歌もストーリーも良かったんだけど、古くて俺の周り誰も知らないから誰とも共有できなくて……。吉田なら詳しいかな?“カブト戦士”一作目のオープニング歌ってるあの人、他の特撮も歌ってる人なんだって?」
そんなアイダの言葉に、とうとう吉田は本領発揮。
「アイダ〜!!あの人けっこう歌ってる!!カラーヒーローの二十三作目のオープニングはあの人の歌だぞ!ライダー戦士シリーズの一つもあの人だ!!だけじゃない、カブト戦士だって一作目二作目で挿入歌も歌ってるんだ!!聴いたことあるだろ!!?なあ!?」
吉田はかなり必死だ。
アイダは一生懸命思い出そうとしたらしいが、小さく首を振る。
「ごめん、そこまでは覚えてないかもしれない……」
それを聞いた吉田は絶望的とでもいうように呆然とする。
しかし吉田は諦めなかったらしい。すぐに顔を上げて真剣にアイダを見た。
「……アイダ、お前帰宅部だったよな?現国苦手だし。今日は先輩たちに勉強も教えてもらうし、俺と二次部に来てくれ」
「えっ、でも俺なんかが行ったら迷惑じゃ……」
自分の突然の申し出にうろたえるアイダに、吉田は爽やかに笑いかける。
「そんなことない、俺たち“仲間”だろ??」
……よっしー、アイダを“特撮漬け”にする気だ。
こうしてクラスメイトのアイダは吉田に連れられ二次部に向かったのだった。
次の日。
吉田はアイダとの約束通り勉強を一緒にやってきたらしいのだが、
何より変化したのは休み時間のたびに吉田のもとに“カブト戦士”とその挿入歌の話をしに目を輝かせてやってくるようになった、アイダと吉田の仲なのだった。
俺は、吉田があらためて聴き直したという特撮ヒーロー番組の挿入歌について熱く語るのを聞いていた。
「……カズキ、オープニングやエンディングだけじゃないんだって!!あらためて挿入歌ってあんな熱く、ヒーローたちのことだけじゃなく登場メカやら悪役のことまで熱く歌うんだと思うと感動したんだ!『今どき熱くなんて』とかいうヤツいるけどな、ヒーロー応援するのに熱くならずにどうするっていうんだよ!!年代には年代の、シリーズにはシリーズの良さがある!!」
聞いている俺は苦笑い。
俺はここ最近は『アーツ』を観ただけで、特撮ヒーローは幼少のときに観たのを覚えているかいないかくらい。
オープニング歌ならまだしも挿入歌なんて、覚えているかどうかっていったら……
そのとき、クラスメイトのアイダが俺たちの話に入ってきた。
「あ、あのさよっしー。俺じつはずっと前に“カブト戦士シリーズ”を観たことがあるんだ。俺の伯父さんが、買ったDVD観せてくれてさ……」
それを聞いた吉田の目が輝く。
「なかなか歌もストーリーも良かったんだけど、古くて俺の周り誰も知らないから誰とも共有できなくて……。吉田なら詳しいかな?“カブト戦士”一作目のオープニング歌ってるあの人、他の特撮も歌ってる人なんだって?」
そんなアイダの言葉に、とうとう吉田は本領発揮。
「アイダ〜!!あの人けっこう歌ってる!!カラーヒーローの二十三作目のオープニングはあの人の歌だぞ!ライダー戦士シリーズの一つもあの人だ!!だけじゃない、カブト戦士だって一作目二作目で挿入歌も歌ってるんだ!!聴いたことあるだろ!!?なあ!?」
吉田はかなり必死だ。
アイダは一生懸命思い出そうとしたらしいが、小さく首を振る。
「ごめん、そこまでは覚えてないかもしれない……」
それを聞いた吉田は絶望的とでもいうように呆然とする。
しかし吉田は諦めなかったらしい。すぐに顔を上げて真剣にアイダを見た。
「……アイダ、お前帰宅部だったよな?現国苦手だし。今日は先輩たちに勉強も教えてもらうし、俺と二次部に来てくれ」
「えっ、でも俺なんかが行ったら迷惑じゃ……」
自分の突然の申し出にうろたえるアイダに、吉田は爽やかに笑いかける。
「そんなことない、俺たち“仲間”だろ??」
……よっしー、アイダを“特撮漬け”にする気だ。
こうしてクラスメイトのアイダは吉田に連れられ二次部に向かったのだった。
次の日。
吉田はアイダとの約束通り勉強を一緒にやってきたらしいのだが、
何より変化したのは休み時間のたびに吉田のもとに“カブト戦士”とその挿入歌の話をしに目を輝かせてやってくるようになった、アイダと吉田の仲なのだった。