朝型ちゃんに一目惚れ
 朝は苦手だ。

 俺の休みの日に起きる時間は昼前。
 いつも学校に行く時間はギリギリ。

 毎朝学校へは、眠い目を擦りながら起きて、半分寝ながら出掛ける。

 起きてすぐは、眠すぎて声も出ない。


 休日のその日も、友人の渡瀬(ワタ)に、午前中から一緒に出掛けるからとモーニングコールを掛けてもらった。

 朝。

♪♪〜

 俺はなんとか携帯が鳴っているのに気付くと、ほとんど寝ながら携帯を取る。

『カズキ〜!起きてるか〜!?』

「ん……」

 朝一発目、俺の声は出ない。

『起きてないんだろ〜?また夜寝てないのか??』

「なん、じ……??寝たの、明けの四時……」

 辛うじて出るかすれた声で、俺がなんとか応える。俺に朝会う友人たち曰く、『蚊の鳴くような声』だそう。

 渡瀬は、やっぱりというように笑いながらさらに声を大にした。

『聞こえねえ〜!着替えろよ〜?約束の時間もうすぐだからな〜!迎え行くぞ〜!!』

「いま、起きる……」

 こんなだから友人達との遊ぶ約束は、いつも昼過ぎからになる。

 朝練のある部活はやっていないし、もう何年も、遊びに行くために早起きなんてしていない。


「おそよう、カズキ〜」

「…はよ……」

 まだ寝ぼけなまこな俺。かなり頭はボンヤリ。

 渡瀬は、彼女で俺の知り合いの仁科を連れていた。

「こいつ暇だって言うから連れてきた〜」

「星野君、またギリギリまで寝てたの〜?」

 笑いながら聞かれ、俺は仁科に苦笑いしながら返す。

「…早く、眠れなかったんだよ……」

 いつもそうだけど、昨日の夜は特になんだかソワソワして眠れなかった。

「楽しみで、って〜?小学生の遠足かよっ!」

 渡瀬は俺に笑ってツッコんだ。

「ちがうっ……って、あれ、誰……??」

 三人で集合場所近くまで来ると、遊びに行く約束をしていた吉田(よっしー)のそばに、女の子がいた。
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