朝型ちゃんに一目惚れ
 カラオケで一息つくと、いつものように皆で雑談。

「陽菜ちゃんは早起きなんだぁ〜!」

「…え??」

「見習えよカズキ〜!陽菜ちゃん、いつも五時半に起きて、その後ウォーキングだってさ!」

「朝早いんだ!」

 早起きなんてしない俺。
 でも、好きな子と出掛けられるんだったらするだろうか?

「“吸血鬼先輩”とは、真逆なんだよな〜!」

「なんだよ〜……」

 俺が返すと吉田がニヤニヤ笑った。
 陽菜ちゃんはここぞとばかりに俺に言う。

「お兄ちゃんなんかこの前、朝からロボアニメの全話鑑賞してたんですよ〜!!?」

 吉田は早起きをしても、運動をするタイプじゃない。
 俺は呆れて笑う。

「よっしー、買ったのかよ、アレ……」

「コンプリートセット、買ったばっかなんだよ!奴が俺を呼んでるんだ!!…なぁんて」

 渡瀬も呆れて言う。

「どれだけ極める気なんだよ……」

「え?マスタークラスになるまで?」

「…こんな元気な妹がいて、兄貴はオタクだよ……」

「あははは!!」

 いつものような軽い会話にみんなが笑う。
 でも俺は会話に加わりながらも、陽菜ちゃんが気になって仕方なかった。


「…ってことで、よっしーとカズキは、陽菜ちゃんと日曜の朝にウォーキングな!」

 俺が少々ボンヤリしている間に、なぜかそんな話になっていた。

「え!!?」

「カズキ、朝六時に迎えに行くからな〜!」

「ウソだろ、ワタは??」

 唐突過ぎる……

 吉田はまだいい。
 行くのは妹とだし、何より一緒にいたっておかしくないから。
 仲良し兄妹で朝のウォーキングなんて、一人っ子の俺からすればうらやましいに決まっている。

 でも俺は明らかに部外者……

「カズキ、寝ぼけて制服着てくるなよ〜」

「ま、待てよ、俺……
「でさ〜……」

 流される俺の意見。皆はそのまま盛り上がる。

 俺の意見する暇は消えた。
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