朝型ちゃんに一目惚れ
 そんな事があったその晩、 頭を抱えた俺はいつもよりさらに眠れない。

「なんでよっしーと陽菜ちゃんと三人でウォーキングなんだよ……」

 今日初めて陽菜ちゃんに会った。
 カラオケの歌はキレイな声ですごく好きになった。

 その陽菜ちゃんと吉田と、なぜか日曜にウォーキング。そして日曜は一週間後……

 色んなことが一日で起きた。少なくとも俺にとっては。

「…あぁもう〜!!」

 さんざん悩んだ挙げ句、俺はいつもより遅い三時半過ぎ頃に寝ついた。


 次の日、一限目の授業。

「星野!寝てたのか〜!?今の一文だ、読んでみろ!」

 頭が回っているわけがない。
 案の定いつもよりボンヤリ。というかまだ半分寝ているような感じだ。

「いえ、え〜と、『竹取物語で有名な』…あれ……??」

「それはさっきだ!聞いてなかったな!?お前、なんでいつも四、五時限目は元気なのに朝はダメなんだ……。いつもよりボーッとしているな、顔洗って来い!」

 俺は担任に呆れられて注意される始末……

「はい……」

 そう、担任が言うとおり今日は特に酷い。
 昨晩の夢にまで、歌っていた陽菜ちゃんが出てきたくらいだ。

 こんなことは今まで一度もなかったほどの、重症な初めての一目惚れ。

 顔を洗ってもまだボンヤリするまま、俺は再び教室に戻った。


「“吸血鬼先輩”はまた、担任の巻ティーに注意されましたとさ」

「おいやめろ〜……」

 放課後に行ったファーストフード店で茶化す渡瀬と吉田のいるいつもの光景に、今日は陽菜ちゃんが足されている。

 さすがに自分が痛たまれない……
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