紳士な若頭の危険な狂愛
その時点で何人もの友人に声をかけたのだろう、縁を切ると言われショックを受けたようだが、最上はそんなヤツは放っておけ、その分俺が美香を幸せにするからと慰めたらしい。
それを聞いて、私は詐欺である可能性が高いと思った。
必死に否定する美香を説き伏せ、あるだけのお金を払うその日に同行させて欲しいと言った。
美香はいつも優しい最上が高圧的になったことに、完全に萎縮していた。
私は最上に尋ねた。
「その物件の詳細、教えてもらえませんか?」
「なんで他人に」
最上が私をにらむ。
「美香と将来その店をやりたいんですよね?
なら、もっと詳しい情報を提示しても良いのでは?
そもそも店舗の住所も伝えてないですよね?
貸し主は?仲介業者は?保証人は?」
「美香!俺の言葉を信用できないのか?!」
私の言葉を遮るような最上の大きな声に、美香はビクッとしている。
夜十一時過ぎとはいえ、ファミレスにはそれなりに人がいた。
客が何事かと視線を向け、気づいた最上は周囲を安心させようと作り笑顔を浮かべる。