紳士な若頭の危険な狂愛
「お気遣いありがとうございます。
ですが、これは私と美東さんとの問題です。
美東さんがそう言うのならそのときに考えます。
教えてください、彼の居場所を」
お願いしますと頭を下げた。
どんな言葉も彼から聞かなければ意味が無い。
会いたい、その衝動に勝てるものは無かった。
「義隆」
何故美東さんの名前が?
顔を上げるとドアのノックする音。
ドアが開くと、ぴったりとしたスーツを着こなす美東さんが淡く微笑んで立っていた。
「賭けはお前さんの勝ちだ」
「では約束通りに」
「好きにしろ」
組長さんはあきれた声で美東さんを手で追い払うようなジェスチャーをした。
私は訳がわからず美東さんと組長さんの顔を交互に見る。
「ここまで乗り込んできた勇敢なお嬢さん、少しお出かけしませんか?」
以前と同じくソファーに座る前で跪いた美東さんが手を差し出す。
私は躊躇すること無くその手を取った。