紳士な若頭の危険な狂愛


*********


美東さんが運転する車に乗って着いたのは、十五階ほどのマンション。
だが都心の中心地にあり、地下に向かうスロープを進むと駐車場が広がる。
エンジンを止め、美東さんが助手席のドアを開けてくれた。
礼を言って周囲を見れば駐車されているのは全て高級外車。
入るときに思ったが、ここも相当なお値段の場所なのは間違いなさそうだ。

地下駐車場からエレベーターで最上階へ。
家に入って広いリビングに通されこっそり部屋を見渡す。
モダンな家具も置物も高級ショールームそのままのように見えた。

「この部屋は前回と同じように家具付きなんですよ。
賃貸なのでこういうのが楽なのですが、綾菜さんには味気ないでしょうね」

部屋を見渡していたら、美東さんがキッチンで珈琲を用意していて慌てる。

「手伝います」

「お客様なんですから座っていてください」

にこりと言われ、私ははい、と答えてモダンなデザインのソファーに座る。
聞きたいことが沢山ある。
でもきっと彼から話してくれるはずだ。

< 59 / 74 >

この作品をシェア

pagetop