紳士な若頭の危険な狂愛

「えぇそうです。
親父さんが言ったと思いますが、次期組長は私です。
おそらくそんなに時間がかからず継ぐことになるでしょう。
結婚も避けては通れない。
その相手はカタギの世界で生きたい、という人では無理です」

「何故ですか?
私を愛しているんですよね?
私は一般人ですよ?」

憤る私を落ち着けるように、彼の手が私の手をゆっくりさする。

「えぇ、あなたはカタギの人間です。
ヤクザ、極道の人間は、家を借りることすら厳しい。
何をするにも契約書がついて回り、そこには必須で入っているんですよ反社条項が。
いわゆる、私たちのような反社会的人間は契約させないという条項です。
ようは、普通に生活が出来なくなる事を意味します」

「でもここに住んでますよね?」

「ここはうちの組の土地で、息のかかった業者が建てた建物です。
所々には治外法権ではありませんが、そういう者達が使用できる場所があります。
当然警察はチェック済ですので、おかしなまねは出来ません」

彼は私の手を両手で包み込んだ。
大きな手が私の手をすっぽりと包み込む。
彼に流されていたいた事に気づき、再度尋ねた。

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