紳士な若頭の危険な狂愛

第五章 私の選択


自宅に戻ってから、いつもの日々を過ごした。
アットホームな会社で仕事をし、帰りはスーパーで買い物をして帰る。
歩いているこの商店街には沢山の人が行き交っている。
この中にもヤクザの人はいるのだろうか。
ふと社長の言葉を思い出した。
今のヤクザは一般人にしか見えないのだと。
なら普通に過ごせそうなのにと思う私は、単に自分の気持ちを正当化したいだけなのだろう。

そんな折、会社に大きな仕事が入ってきた。
忙しくなるぞと嬉しそうに息巻く社長や社員達。
そんな時にニュースで目にしてしたのは、暴力団同士の抗争による殺人事件の速報だった。
殺害されたのは組長。
銃で撃ったのは敵対する組の男だった。
ニュースは現場にいるリポーターが事件の概要を説明し、映像には血だまりが映っていた。

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