紳士な若頭の危険な狂愛
私がいるのはそんな世界。
だけど私の心の中には、暗闇に佇む狂愛を抱いた若頭がずっといる。
品の良いスーツを着こなし丁寧な言葉遣いに優しい態度。
いつも穏やかに笑みを浮かべているのに、そんな同じ表情で割れた瓶を男の手に刺した人。
彼のいる世界はそれがおかしくは無い世界だ。
土曜と言うこともあり一人部屋で過ごし、外は既に暗い。
しばらく瞑った目をあければ、暗い部屋はさっきより見える。
湾岸の美東さんの部屋に行ったとき彼が灯りをつけなかったのは、おそらく意味があったのだろう。
私は机の上に置いてある美東さんのくれた名刺とスマホを手に取った。
数コールで電話は繋がる。
『はい』
「美東さん、一谷です」
『こんばんは』
「私の答えを今、伝えても良いでしょうか」
『えぇ』
「私は・・・・・・」