紳士な若頭の危険な狂愛
私は美東さんのいる世界を選んだ。
当然会社を辞めることになるため辞める一ヶ月以上前に辞表を提出した。
社長には遠くに行くことになったのでとだけ伝えれば、おそらく察したのだろう、悲しそうな顔をしてそれ以上何も聞いてこなかった。
私の後任はすぐに採用され、十分に引き継ぎをした後で会社を辞めた。
絵理奈ちゃんから泣きながら引っ越し先を聞かれたが、教えることは出来なかった。
私はずっと使っていたスマホを解約し、新しいスマホには今まで交流を持った人々の連絡先は一切無い。
入籍は一足先に済ませ、私の苗字は藤代となった。
今日式に来ているのは藤代組の人達とその関係者だけ。
私の友人も会社の人達も当然いない。
このドレス姿を親しい人達に見せたかった。
だけど、これが私の選んだ道。
寂しいだなんて口にしてはいけない。