鏡と私
(さぁて、どうしようかしら)
理子に連れられて、校舎四階の端のトイレに行けば、すぐ待ち伏せていた久美と香織に奥から二番目のトイレの個室に閉じ込められ、上から汚物や汚いバケツの水をかけられる。
私は毎回毎回、久美と香織のつまらない憂さ晴らしの為にいじめられ、涙を流して許しを乞う私自身が大嫌いだった。
(まずは……腰巾着の理子)
理子は私が転校してくるまで、ずっと久美と香織にいじめられていたが、私が転校してくるや否や「友達になろう」などと善人ぶって近づいてきて、いじめの新たなターゲットとして私を久美と香織に差し出したのだ。
私は理子に続いて階段を登りながら、あたりに誰もいないか確認する。
今週はテスト期間中の上に、放課後になってからもう30分は経っている。校内に人影はなく、教員たちは職員会議中だ。