冷酷御曹司の〈運命の番〉はお断りです
そもそも私は運命の番嫌いのアルファの女という時点でかなり難あり物件で、高校時代にクラスの男子と付き合って以来、恋愛からは遠ざかっていた。
だから確かに、社長に対してどうすべきか分からない点はあるのかもしれない。
私は意を決して切り出した。
「その、私を好き?というか必要?としてくれる人がいて、告白?されたんですけど」
「うんうん」
「私はその人の思いには応えられなくて」
「あらー」
「でも、今私その人の家に住んでるんですよね」
「なんで⁉︎」
「色々あって……」
言われてみると、別に私は社長の家に住む理由はないのだ。
そりゃあの時は半ば脅されて頷いたけれども、私が彼の言う通りにする義務はない。
今からだって荷物まとめて「やってられるか!」と叫んで自分のアパートに帰ったっていいのだ。
ぎゅっと拳を握る。かつて万年筆で切り裂いた傷が疼いた。
私は嫌な事は絶対にやらない。どんな目に遭っても、決して社長の運命の番にはならないように。
それなのに、社長のそばにいるのは――。
私が彼の近くを居心地よく思っているから?
先輩が私の顔を見て、優しく微笑む。
「普通、嫌いな人と一緒に住もうとは思わないわ。雨宮さんはその人の気持ちには応じられないって言ったけど、一度ちゃんと相手の方と話してみたら?」
「確かに……話す必要はあるかもしれません。何か知りませんが、キスされそうに?なった気もしますし……?」
「それはマジできちんと話した方がいいわよ。無理強いされそうになったら、相手の小指を外側に捻って逃げて。分かった?」
「はい!」
だから確かに、社長に対してどうすべきか分からない点はあるのかもしれない。
私は意を決して切り出した。
「その、私を好き?というか必要?としてくれる人がいて、告白?されたんですけど」
「うんうん」
「私はその人の思いには応えられなくて」
「あらー」
「でも、今私その人の家に住んでるんですよね」
「なんで⁉︎」
「色々あって……」
言われてみると、別に私は社長の家に住む理由はないのだ。
そりゃあの時は半ば脅されて頷いたけれども、私が彼の言う通りにする義務はない。
今からだって荷物まとめて「やってられるか!」と叫んで自分のアパートに帰ったっていいのだ。
ぎゅっと拳を握る。かつて万年筆で切り裂いた傷が疼いた。
私は嫌な事は絶対にやらない。どんな目に遭っても、決して社長の運命の番にはならないように。
それなのに、社長のそばにいるのは――。
私が彼の近くを居心地よく思っているから?
先輩が私の顔を見て、優しく微笑む。
「普通、嫌いな人と一緒に住もうとは思わないわ。雨宮さんはその人の気持ちには応じられないって言ったけど、一度ちゃんと相手の方と話してみたら?」
「確かに……話す必要はあるかもしれません。何か知りませんが、キスされそうに?なった気もしますし……?」
「それはマジできちんと話した方がいいわよ。無理強いされそうになったら、相手の小指を外側に捻って逃げて。分かった?」
「はい!」