冷酷御曹司の〈運命の番〉はお断りです
そう言う間にも、おばさんの手はテキパキと花束を作っている。菊にカーネーション、姉が好きだった白い百合。色合いを変えて、二つ分。
「茉優ちゃんはねえ、早くにご両親を亡くして、お姉さんと二人きりで生きていたところで、今度はお姉さんも亡くなってしまって。それからずっと住んでいたこの町を出て、良い大学に行って頑張ってたんだから。大事にしてあげてね」
おばさんの口調には、祈るような切実さがあった。肩にかかる柾さんの手に力がこもる。わずかに彼の方へ体を引き寄せられて、私はよろめいた。
「……ええ、お約束します」
その響きがやけに重みをもって聞こえた気がして、とっさに柾さんを差し仰ぐ。
けれど身長差があって、私には彼の表情は見えなかった。
おばさんはニコニコ顔で、私に二つの花束を渡してくる。
「茉優ちゃん、良かったわねえ。幸せになってね」
「はは、ありがとうございます……」
花束を受け取りながら、私は笑顔を引き攣らせた。
「茉優ちゃんはねえ、早くにご両親を亡くして、お姉さんと二人きりで生きていたところで、今度はお姉さんも亡くなってしまって。それからずっと住んでいたこの町を出て、良い大学に行って頑張ってたんだから。大事にしてあげてね」
おばさんの口調には、祈るような切実さがあった。肩にかかる柾さんの手に力がこもる。わずかに彼の方へ体を引き寄せられて、私はよろめいた。
「……ええ、お約束します」
その響きがやけに重みをもって聞こえた気がして、とっさに柾さんを差し仰ぐ。
けれど身長差があって、私には彼の表情は見えなかった。
おばさんはニコニコ顔で、私に二つの花束を渡してくる。
「茉優ちゃん、良かったわねえ。幸せになってね」
「はは、ありがとうございます……」
花束を受け取りながら、私は笑顔を引き攣らせた。