【短】水溜まりに映る花火は、綺麗だった
恵まれた男の日常②
Side:西蓮寺氷柳
「花火大会?」
「そう、夏の目玉イベント! 浮かれた空気でカモれ……楽しめる! 氷柳も行くだろ~?」
「……そうだな」
そんな調子だから人に恨まれるんだ、といちいち口にするのも疲れる。
「うわ、何その軽蔑した目! 親友に向ける目じゃないぞ」
「そうか」
「そうか、って……冷たいなぁ。俺は繊細なハートしてるんだから、もっと優しくしてくれないと」
今日の口八丁を聞き流して、スマホで数日後の予定を確認する。
例年通り、両親は7月も8月も、仕事と社交漬けの日々を送るようだ。
今年家を出たばかりとは言え、顔を見せろと呼び出されることは無いと考えていい。
家を出ても出なくても、顔を合わせる頻度は変わらないが。
「そういえばこの前の捨て猫はどうなったんだ~?」
「……標準体重に近付いた」
「ふ~ん、じゃあ飼うことにしたのか。クールな顔して動物好きとか、モテる要素しかないなー」
「花火大会?」
「そう、夏の目玉イベント! 浮かれた空気でカモれ……楽しめる! 氷柳も行くだろ~?」
「……そうだな」
そんな調子だから人に恨まれるんだ、といちいち口にするのも疲れる。
「うわ、何その軽蔑した目! 親友に向ける目じゃないぞ」
「そうか」
「そうか、って……冷たいなぁ。俺は繊細なハートしてるんだから、もっと優しくしてくれないと」
今日の口八丁を聞き流して、スマホで数日後の予定を確認する。
例年通り、両親は7月も8月も、仕事と社交漬けの日々を送るようだ。
今年家を出たばかりとは言え、顔を見せろと呼び出されることは無いと考えていい。
家を出ても出なくても、顔を合わせる頻度は変わらないが。
「そういえばこの前の捨て猫はどうなったんだ~?」
「……標準体重に近付いた」
「ふ~ん、じゃあ飼うことにしたのか。クールな顔して動物好きとか、モテる要素しかないなー」