【短】水溜まりに映る花火は、綺麗だった
誰か、助けてよ。

1人でもいい、私に優しくして。

「大丈夫?」って、声を掛けて。


永遠にこんな生活が続くくらいなら、いっそ――。




その時、ドォンと音がした。

見下ろしている水溜まりが発光して……いいや。

水溜まりが光ったんじゃない。


涙がこぼれて、視界がクリアになる。


そこには、光の花が咲いていた。

私の頭越しに、黒い水面に、黒い空に浮かぶ花火が、とても綺麗に映っていた。




「ぁ……」




目が丸くなる。

こんなに綺麗な花火を見たのは、いつぶりだろう。

走り抜ける電車と同じように、心を奪われる一瞬。




「あぁ? なんだ~?」




ズッと、擦るような足音がした。




「弱い者いじめは、感心しない。ましてや相手が怪我人ともなれば……」
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