【短】水溜まりに映る花火は、綺麗だった


怒りを秘めているような、低い声だった。

驚いて、ゆっくり顔を上げる。




「ぶっ……いてぇ! 何しやがる~、このガキぃ!」




目の前に、大きな背中があった。

ドドォンと、花火の音がする。




「痛い? どの口が……彼女の方が、ずっと痛かっただろう」


「!」




ぽろっと、涙がこぼれる。

どうしてだろう。

次々と涙が溢れて、止まらなかった。




「悪いのはそいつなんだ~!」


「怪我人を一方的に虐げておいて……悪酔いだとしても、許されることじゃないぞ」


「……っ」




この人は、誰なんだろう。

どうして疑いもなく、私の味方をしてくれるの?


パラパラと、光の花が落ちる。

待ち侘びていた時が来たように、ドンドンと、花火は絶え間なく上がった。
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