【短】水溜まりに映る花火は、綺麗だった
あぁ、来た。
私の学校生活の行く末を握る女王、姫田さん。
クラスでも、学年単位でも目立ち、カースト上位に立つ女子生徒。
ぷんと漂う香水はフローラルの香り。
長い茶髪を指に絡めて遊びながら、猫のような目を三日月形にして近付いてくる。
「ねぇ、あたし暇なの。なんか面白いことやってよ」
……これは、ツイてない。
どんな無理難題でも、具体的な指示があればそれをするだけでいい。
醜態を晒して笑われたって、私のやるべきことはたったひとつだ。
でも、こういう要求は何をしても満足されないことがほとんど。
「……はい」
体が大きく動かないように、肩を固定してこっそり深呼吸をした。
まず、何かする。
その後に怒られて、もっとこうしろと要求される。
それからは要求に従っていけばいい。