【短】水溜まりに映る花火は、綺麗だった


ショートカットの髪を揺らして、中代さんは足を上げる。

汚れのついた下履きはYシャツのボタンにめり込んで、私の体をくの字に曲げた。


後頭部が床にぶつかる。

背中が床にぶつかる。

腰が床にぶつかる。


足は壁にぶつかった。




「っ……」




全身の痛みに顔がくしゃっと歪む。

古傷が刺激されたことも相まって、息が詰まった。




「は~ぁ……これが初めてなら面白かったけどさ、擦りなんて冷めるっての」




顔の近くから姫田さんの声が聞こえて、眉根が寄ったまま目を開ける。

姫田さんは私の前にしゃがみこんで、にこにこと笑顔を浮かべていた。


あぁ、よかった。

これなら、しつこく絡まれはしない。




「そうだ、あんたさ、職員室行ってカッター振り回しておいでよ」
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