【短】水溜まりに映る花火は、綺麗だった
大股で歩きながら、右に、左に、上に、下に、カッターを持つ手を振り回す。


空を切るばかりでは怒られる?

備品を傷付けて、先生にも怪我を負わせたら、満足してくれるかな。

私が厳しく怒られたら、姫田さん達はその分笑ってくれるはずだから。




「あぁぁぁぁぁぁあ!」




ちらりと視線をやって、デスクの上に積まれた紙の山を切りつける。

深くは入り込まなかったけど、上の何枚かは真ん中からざっくりと切れた。




「やめなさい!」




声だけの制止を無視して、次のターゲットを探す。

あぁ、ちょうどいい。




「止まれ!」




体格のいい先生が腕を上げて、防御の姿勢を取りながら近付いてきた。

捲られたYシャツの袖目掛けて、カッターを振り抜く。

ザクッと、手ごたえがあった。
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