妖しく微笑むヴァンパイア



「じゃあ、家までよろしくお願いします」
「うん、しっかり護衛務めます!」
「……ふふ」
「また笑ったね?」
「ごめんね」



 生徒会室にいた時は気まずいと思っていたのに、今では気楽に会話できるようになっていた。

 警戒していた他人との距離を、
 璃斗にはこうして許してしまったのは何故だろうと、由良は考える。

 それは多分、一生懸命に諦めることなく関わろうとしてくれた彼のことを。
 拒絶する方がバチ当たりな気がしてしまったから。



(よく考えたら、ヴァンパイアの正体なんて簡単に知られることはないか……)



 生徒会長と副会長として、この距離感は問題ないだろうし。
 璃斗の誠実な性格がわかったところで、由良の中でも少し心が開放された。



「璃斗くんがモテる理由がわかった気がする」
「え⁉︎」
「顔だけかと思ってたけど、気さくで優しいし性格も良いし」
「顔だけって……」



 由良の辛辣な一言に璃斗は立ち止まりそうになったが、
 この後に続けられたセリフを聞いて、胸を躍らせることになる。



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