妖しく微笑むヴァンパイア
* * *
その翌日も、そのまた翌日も――。
放課後の生徒会活動で帰り時間が遅くなると、
璃斗は由良を自宅前まで送るようになり、十日ほどが経った。
「いつも送ってもらって悪いよ」
「もう慣れてきたし、由良ちゃん家の近くの駅から帰れるから」
そう言って本日も由良と共に夜道を歩いている璃斗は、
日に日に笑顔が増えてきた気がする。
同時に、由良の中でも壁が薄れてきたような感覚で、何気ない会話が弾むことも。
「今年の学園祭は食べ物の出店が多いから、全部回ったら腹膨れるな〜」
「全部回るなんて無理よ、生徒会役員として仕事もあるのに……」
「見回りしながら食べるとか!」
「そんな、示しがつかない」
学園祭当日の生徒会役員の仕事は、
本部にいながら他の委員会との連携をとったり、
校内を巡回してトラブルが発生した際に直ぐ対応すること。
だから他の生徒たちのように、
友達と楽しく好きな場所を回ったり、食べ歩いたりなんて行動は難しい。
しかし、そんな由良のお堅い思考を変えたくて、
並んで歩く璃斗は笑顔を向けて話しはじめる。