妖しく微笑むヴァンパイア



 * * *


 その翌日も、そのまた翌日も――。

 放課後の生徒会活動で帰り時間が遅くなると、
 璃斗は由良を自宅前まで送るようになり、十日ほどが経った。



「いつも送ってもらって悪いよ」
「もう慣れてきたし、由良ちゃん家の近くの駅から帰れるから」



 そう言って本日も由良と共に夜道を歩いている璃斗は、
 日に日に笑顔が増えてきた気がする。

 同時に、由良の中でも壁が薄れてきたような感覚で、何気ない会話が弾むことも。



「今年の学園祭は食べ物の出店が多いから、全部回ったら腹膨れるな〜」
「全部回るなんて無理よ、生徒会役員として仕事もあるのに……」
「見回りしながら食べるとか!」
「そんな、示しがつかない」



 学園祭当日の生徒会役員の仕事は、
 本部にいながら他の委員会との連携をとったり、
 校内を巡回してトラブルが発生した際に直ぐ対応すること。

 だから他の生徒たちのように、
 友達と楽しく好きな場所を回ったり、食べ歩いたりなんて行動は難しい。


 しかし、そんな由良のお堅い思考を変えたくて、
 並んで歩く璃斗は笑顔を向けて話しはじめる。



< 18 / 62 >

この作品をシェア

pagetop