妖しく微笑むヴァンパイア
先週初めて教えてもらった、ヴァンパイアの母と人間の父が出会った時の過去話。
そこには、人間だった父がヴァンパイアになったワケが隠されていた。
「……私の両親は、好きで仲良くしているわけじゃないのかも」
「由良ちゃん?」
「一緒になるしかなかった、とか……」
ヴァンパイアになってしまった。人間だった父の意思を無視して。
だから仕方なく、ヴァンパイア同士一緒になるしかなかった二人――。
そんなふうに予想した時、自分の存在が何なのか見失いそうになった由良はもう一度空を見た。
空を見て、自分は絶対にそんなことしないと誓う。
「……なんか、辛いことあった?」
「え?」
「少し、由良ちゃんが悲しそうに見えたから」
憂いを帯びた瞳で見つめてくる璃斗に、由良の心が大きく揺らぐ。
先週も思ったこと。
璃斗には、自分の心が見透かされている感覚。