妖しく微笑むヴァンパイア



 それを少しだけ嬉しく思うと同時に、
 ヴァンパイアという秘密が知られてしまわないかという恐怖にもなる。

 だから「大丈夫」と言って悟られないようにしないといけないのに、
 それがもどかしいと感じるのは何故だろう、と由良は不思議に思った。



「確かに、親って子供に秘密多いよな」
「璃斗くんもそう思う?」
「うん、馴れ初めとか聞いても絶対教えてくんないし」



 そう言って腕を組んだ璃斗は、何だか不服そうに顔を歪めていた。

 そういう家庭もあって、誰にでも秘密はあるんだと少し心が軽くなるが。
 ただ、由良の秘密は誰にも受け入れられることではないとわかっていた。



「……璃斗くんも、秘密持ってたりする?」
「え⁉︎」
「あ、ごめん……裏表ないイメージだったから」



 誰にでも気さくな笑顔で対応し、不快にさせない彼にも秘密があるものなのか。
 普段他人に興味がない由良が、璃斗の秘密の有無には興味が湧いてしまった。



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