妖しく微笑むヴァンパイア



 感情的になるなんて、自分らしくない。
 璃斗に惹かれているからこんなことになってしまうんだと、
 少し悔やむ由良がすぐに弁解した。



「ごめん、ちょっと疲れてて」
「いや……俺の方こそしつこくてごめん」
「……っじゃあ、そっちの落とし物の管理を」
「う、うん」



 本当はこんな気まずい会話したくないのに、
 今はどうしても過ってしまうから――。

 あの後サエとどんな会話をしたのか、どこに立ち寄ったのか。
 楽しかったのか、いい感じの雰囲気になったのか。



(……我ながら、重症ね)



 そんなこと気にしたところで、
 璃斗とどうこうなれるわけでも、そんなつもりもないのに。

 重苦しい空気の中、
 当然一年生コンビもハラハラしながら由良と璃斗を見守る。


 しかし、それ以降は大きなトラブルもなく。
 無事に学園祭も閉会式を迎えて、生徒会役員は簡単な片付けに追われた。



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