妖しく微笑むヴァンパイア
「うわ! もうすぐ七時になります!」
特別な日とはいえ、
学園祭終了後の作業に集中していた生徒会役員の四人。
窓から見える空がすっかり真っ暗なことと、
生徒会室の壁にかけられた時計が示す時間に、書記さんが驚きの声を上げた。
「大変、一年生は早く帰宅して。残りは来週にしましょう」
「わかりました、じゃあお先に失礼します」
優先的に一年生の書記さんと会計くんを帰らせた由良。
ほとんどの生徒はすでに下校していて、
この時間に校内に残っているのは生徒会役員と、その他の委員会メンバー。
そして監修の先生数名くらいだろう。
璃斗と二人きりになった生徒会室はしんと静まり返るが、
由良は気にしないように、いつも通りを貫く。
「この集計が終わったら、私たちも帰ろう」
「うん、そうだね」
同じ作業をする璃斗にそう告げて、気持ち急ぐ二人。
ただ、由良の中ではもう一つ急ぐ理由があって。
(二人きりで長い時間過ごすのは耐えられない……!)