妖しく微笑むヴァンパイア



 きっとこれから、まだ職員室に残っていた先生方が校内を確認に来てくれるはず。
 そう思った由良が、未だに自分のことを覆い守ってくれている璃斗の腕をきゅっと掴んだ。



「……璃斗くんありがとう、もう大丈夫……」



 すると停電かと思われた廊下の電気が、予備電源に切り替わって辺りが明るくなった。

 そこで視界に飛び込んできたのは、二人の周囲に散らばるガラス片。
 傍らには、廊下の壁にかけられていたはずの姿見の額縁が横たわっていた。

 その光景を見た由良は、
 先ほどのガラスが割れた音の正体は、廊下にあった姿見が地震によって外れ落下した時のものだと理解する。


 でも、幸い二人への被害がなくて良かった。
 なんて思って璃斗の表情を確認しようと顔を上げた時。

 その首元が、赤く染まっていることに気がついた。



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