妖しく微笑むヴァンパイア
ヴァンパイアと言っても、今や普通の人間と何ら変わらない生活を送れる。
長年の進化を経て、太陽を克服したし。
生き血を飲まずとも、人間と同じ食生活で必要な栄養は充分摂取できている。
「……ちゃん」
ただ、どうしたって由良の体中を駆け巡る血液にはヴァンパイアの歴史が刻まれていて。
他人の血を見てしまうと、胸がざわつくこともあるけれど。
それもどうにか自制できるようになった。
「由良ちゃん?」
「……え?」
「その予算案だと、学園が経営難に陥るよ」
認証式翌日の生徒会室で、早速仕事をしていた生徒会メンバーの四人。
来月開催予定の学園祭。その予算案会議中だった。
余計なことを考えていた由良の手元のプリントには、億単位の0が無数に書き込まれていて。
それを隣に座る副会長の璃斗に見られると、笑いながら指摘された。
「ご、ごめんなさい」
「いいよ。由良ちゃんもぼーっとすることあるんだね」
「っ会議を続けて」
「はいはい」