あのメガネアイドルは…。

そういうこと



恋には壁も必要かもしれない。

でも、その壁を1人で越えられるのだろうか。


廊下の隅で先生と真白が向かい合い目が逸らせない。

その横を他の生徒たちが通って行く。


真白「えっと…ちょっとしんどくなっちゃって…」

真白は言葉に詰まった。

こめかみに手を当てて、完全にお手上げの状態。


そんなときに白馬に乗った王子様は現れるのだろう。

羽村「それで、僕が家まで送りました」

後ろから真白に肩を組んできたのは羽村だった。


そして、そんな羽村を見た先生は表情を変えた。

明らかに動揺している。

全く、真白の目を見ない。

真白の方を見ない。


先生「そう、羽村くんが…ね」


何か言いたげな顔をした。

でも、先生はその言葉を飲み込み

先生「次からは先生にも言うようにね」

怖い作り笑いでそう言っていなくなった。



羽村「おはよ、真白ちゃん」

羽村は肩を組んだまま、真白の顔を覗き込む。

真っ黒の瞳。


真白「おはよう、羽村くん」

先生の圧にさっきまでルンルンだった真白は、疲労を感じた表情に。


羽村「ね、こんな感じよ。いつも」

先生が去っていった方を眺めながら言う。


昨日の言ってたこと

羽村「学校の先生とかはさ、俺がいくら悪さをしても注意で終わり」

それはこういうことだった。
< 31 / 85 >

この作品をシェア

pagetop