あのメガネアイドルは…。
わんこ 3
屋上に来た2人と子犬。
子犬はドッグランかのように元気に走り回っている。
チャイムが鳴って授業時間が終わった。
学校中の先生に犬を探すように話が周るだろうが、とにかく今は悲しそうに笑う羽村と犬を一緒に居させてあげたかった真白。
羽村と真白は屋上の柵にもたれかかって並んで座る。
羽村「駅から学校来るまでの道に捨てられたの」
真白「それで連れて来たの?」
羽村「書いてあって」
羽村はその犬を目で追いかけながら小さな声で言った。
真白「…え?」
羽村「2匹仲良しの兄弟ですって箱に書いてた
でも、箱の中にはあのわんこしか居なかった」
そう言った後、羽村は唇をしまった。
真っ黒の瞳が潤む。
羽村「もう1匹は箱から逃げ出したのか
それか……誰かにもう1匹だけ拾われたのか。」
犬から目を逸らして、真白がいる右側ではなく、左側の柵越しに屋上の下へ目線をやった。
真白「…捨てた方がダメなんだけど
だけど、そうだね」
羽村「放っては行けないよ」
走り回る犬を見ると羽村のその気持ちもわかる真白。
羽村「飼えるわけじゃないし、わかってるんだけど」
また犬を見て目で追い、はしゃぎ回る犬を嬉しそうに眺める羽村。