あのメガネアイドルは…。

学年主任

○次の日


学年主任が教室にやってきて羽村が呼び出された。

生活指導室で長方形の机を挟んで、対面で話をする。

教室を入って置く側に学年主任が、扉側に羽村が座った。


表情や個々に呼び出したことから既にわかる。

この学年主任がイライラしていることが。


学年主任の手には1枚の紙があった。

主任「これはどういうことかな?」

そう言って机に叩きつけた進路調査票。

バンっという音と勢いに少しクシャッとなった紙。



【第一希望、第二希望、第三希望

進学、就職、その他

学校名、社名

希望学科、希望理由】



そんな数々の枠やチェック欄を無視してデカデカと書かれた「Bell」の文字。



羽村「Bellを続けるのでBellと書いたまでです。

僕の進路はBellなんで。」



羽村は睨みつけるように真っ黒な瞳を学年主任に向けた。


主任「そうか、そうか。アイドルにな…」

少し声色が変わって優しく笑ったが、羽村の目は変わらない。



「そうか」なんて言葉だけで何も納得していないと容易にわかっていたから。



2人のいる部屋の廊下からは蒼井先生が2人の様子を見ていた。
< 47 / 85 >

この作品をシェア

pagetop