あのメガネアイドルは…。

そこにいたのは



ざわざわとうるさい教室や廊下。


生徒たちをかき分けて先生が教室に入ってきた。


先生「羽村、学校の周りにマスコミやファンが集まってきている。

裏から学校の車で送るから、帰る支度をしなさい。」


SNS上では、羽村が通う高校も特定され拡散済み。


羽村は先生の方を見ることなく机の中のものやロッカーの中のもの全てをカバンに詰め込んだ。


それはもう2度と学校に来ない。

そう言ってるように学校にある自分の荷物全てを抱えた。



連絡先など、交換していない2人。

真白(もう、羽村くんに会えない)

引き留めたかった。



せめて自分の連絡先くらい渡したい。

連絡をくれなくても、それならもう諦めがつく気がした。



だけど、できなかった。


大量の視線を浴びながら、ゆっくり先生の方へ歩いて行く羽村は

羽村純(はむらじゅん)ではなく

傷だらけのBellの(スミ)であったから。

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