あのメガネアイドルは…。
苦しい
先生と共に教室を出ていく羽村。
教室を出る直前に
ある女子が羽村に話しかけた。
女子「純くん、私ずっとファンで」
そう言った女子を羽村は漆黒の瞳で見た。
羽村がこの教室からいなくなって数分。
黒板にはデカデカと自習の文字。
しかし皆がSNSに夢中で、真白はうまく呼吸ができずにいた。
周りから聞こえてくる羽村の事実化された嘘や手のひら返しの態度。
「中学時代パシリとかしてたんだって」
「この画像やばくない?」
「今もなんか、そんな雰囲気だよね」
「この前、目あった時まじで怖かった」
「俺なんて、前の席なんだぞ?
プリントとか回す度にビビってたよ」
「やばいよね、私の隣の席が純くんだったってことでしょ?」
「えぐい、えぐい、推しが隣の席とか」
「同じ空気吸ってたんだよ?」
「え、これ見ろよ、万引きだって」
「マジかよ、犯罪じゃん」
真白は教室から走って出た。
こんなに人がわーわー騒いでいる教室から、人1人いなくなっても誰も気づかないし気づいても気にもしない。
あれほど、真白といる自分を愛していた奴らでさえも。