美男子ヤンキーは一途な犬だった
今日は朝から生憎の雨
気分は憂鬱だ
流石にこの大雨じゃいないでしょ
と傘を開き帰路に着く
考えるのはあのヤンキーくん
まさか、ね。
こんな大雨ならいるわけない
…杞憂ならそれでいいと
靴下に泥が跳ね返るのなんて
気にもとめず走る
『ハァ、ハァ…まじで…、なにしてんの?』
倒れては居なかったものの
傘も持たずに壁に凭れかかっていた
「今日は傷ねぇだろ」
『いやそこじゃなくて…何故傘ささない』
「あー…普通に、忘れた」
『近くのコンビニで買いなよ』
「…買ってる間にお前通り過ぎるかもしれねぇじゃん」
『は、なに?』
雨音と声が小さくて聞き取れなかった
「なんでもねぇ!!これ、返す」
と差し出されたのは
初日に投げつけたハンカチ
『び、ビショビショなんですけど…』
「あ」
どんだけここにいたんだよと思いつつ
『あははっ ありがとう!いいよこのままで』
「わ、悪かったな!!」
恥ずかしさを隠すように
口が悪くなり声も大きくなるのが
なんだか可愛くて更に笑ってしまった
『コンビニまで入れてあげるから、行こ』
「…おー」
立ってるとこは初めて見たから
気付かなかったけど身長が高い
「俺が持ってやる」
『え、まじ?助かるー』
「お前チビだから」
『いやチビではないのよ。貴方がデカいのよ』
身長も高くて顔も良いなんて
神様は二物を与えずなんて嘘ね
この人、神に愛されて産まれたのか